18歳の夏。学生の頃描いた絵をアップしてみた。 な・なんじゃ、これは!?とびっくりされるかもしれない。 犀である。 犀や漠という動物は、おしなべて「絵」になる生き物だと思う。 縦78cm、横110cmの作品で、 墨汁と水彩絵の具で描いている。 たしか、18歳の頃、短大の美術部のグル-プ展に出展する為に描いたのだと思う。 一体、なんでまた、こんな怖い絵を描いたのか。 今は、家のリビングのTVの横に無造作に立てかけてある。 なんで、飾ってやらないかというと 夜見ると、ものすごく怖いのだ。 6歳の息子など、この絵を見て「どこから見てもあいつは僕を見ているんだ。」と本気で怯える。 当時、若かった私は、ダリやマグリッドの絵を好み、太宰や芥川文学を読みふけり、ほんの少しだけ、斜に構えた人生を送っていた。 つもりでいた。 本人は、いっぱしのつもりでいたのであるが、まあ、傍からみれば、きっとコントに見えていたのかもしれない。 虫には虫の充足というものがあるから、それはそれでよかったんだろう。 18歳の私は、充分にお尻の青い若造であった。しかし、まあ、自分のお尻は自分で拭く、くらいのことはわかっていた、と思うな 。 この絵で、一体、何を言いたかったのか? 何を描きたかったのか? 実は、今でもよくわからない。 わかっているのは、若き日の情熱、そして挫折。 デカダンス、シュ-ルレアリスム、アバンギャルド、アブストクラクト、アンソロジ-・・・・。 知ったかぶりの思想を、日替わりでとっかえひっかえ、ごちゃまぜにし、その混沌と知識の羅列の中で喜んでいたのだ。 (って、何が言いたいのか自分でもよくわからんが。) この絵を見てしまう度に、言いようのない羞恥と滑稽と自虐的な気持ちがこみ上げて来る。 しかし、ぎらぎらしていた、あの頃の自分が、少しだけうらやましく思えたりもする。 そして、私はすっくと立ち上がり前を向いて歩きだすのだ。 |